あの空の下で
結衣は一生懸命話してくれた。
俺は、黙って結衣の話を頷いて話を聞いた。
「今までずっと、辛かったけど…私が悪いところを直せば…慎吾も前みたいに優しくなってくれるって思ってたし、幸成もいてくれたから…」
「でもね…なんか、もう本当に駄目なんだなって思った。
私は直してきたつもりだったんだけど…
慎吾は変わらない、って…
そう思ったら、逃げ出したくて…
幸成に頼っちゃった。
辛くて…もう無我夢中で家を…出てきたの…。」
結衣の涙がこぼれ落ちそうになった瞬間、俺は結衣を引き寄せて抱きしめた。
見ていられなかった。
「話してくれてありがとな。
辛かったのに、助けてやれなくてごめん。
力になってやれなくてごめん…」
「ちがっ…違うの…!!
幸成がいてくれたから…、三年間も…頑張れたの…。」
「なぁ…ここに、ずっといてよ…。
あんな家、帰らなくていい…」
結衣を抱きしめたまま、俺は決心した。
「俺が、ずっと結衣と優志を守ってやるからさ…
本当はずっと、高校の時からお前の事が好きだったんだ…」
気持ちを伝えると、結衣は俺から離れた。
「そんなの…駄目だよ…
そんな事言われたら…私、戻れなくなっちゃうよ…
幸成に迷惑かけちゃう…」
「俺じゃ駄目なのか…?
やっぱり、俺じゃ頼りないのか…?」
「違う…そうじゃない…!!
私、だんだん幸成の事を好きになっていく自分が怖かったの…。
ずっと、ずっと…幸成と一緒にいたい気持ち…我慢してた…
迷惑かもしれないって思ってたから…」
泣きじゃくる結衣をみて、気持ちを伝える事ができて、なんだか俺まで泣きそうになった。
嬉しくて、結衣を再び抱きしめた。
「そんな事ないから…。
俺は、結衣の事が好きだから。
優志の事も、すごく大事に思ってるんだ。
だからさ…旦那の事も、なにもかも全部、一緒に頑張ろう。
そばにいてよ…。」
俺の胸に埋まって泣いていた結衣は、座ったままの体制で、俺を見上げた。