あの空の下で
朝目覚めると、俺のうでの中にいたはずの結衣がいなかった。
その代わりにとてもいい香りと、規則的な包丁の音が響いていた。
立ち上がり振り返ってみると、結衣が台所で朝食を作っていた。
「ふふふっ。おはよ。」
恥ずかしそうに結衣は笑った。
よかった。昨日の出来事は夢じゃない。
これからは、こうして毎朝この香りと音で目覚めるんだ…。
「朝飯作ってくれてんの?」
「勝手にごめんね?
今日は練習あるんだよね?」
あ…。そっか。今日は練習…っていうかミーティングがある。
もうすぐトーナメントがあるから、それに向けてのミーティングが昼からある。
「ミーティングがあるんだ。
優志は保育園行かねーの?」
「優志、もう冬休み入っちゃったんだ。
だから当分お休みだよ。」
「そっか。俺、今日は夕方には帰ってくると思うから。
帰ったら、どっか飯でも食べにいくか?」
「えぇー!!いいのっ?
ご飯食べに行くなんて久しぶりだー!!」
「そうなの?じゃあどこ行きたいか、優志と決めといて。」
「わかったっ!!」
うわー。朝っぱらからこの結衣の笑顔。
幸せだな。