【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
「いまどこ?」
そんな一言を聞いてみる。
「もうすぐ着くよ。主任こそ俺の家だよね?」
もうすぐ着く・・・ 琥珀の言葉に、翡翠のテンションが上がる。
待ち人やっと・・・の心境だ。
「帰ってもよかったんだけど待ってるように言われたから・・・」
口から出るセリフは可愛くない嫌味たっぷりの言葉。
「本当すぐ帰るから。」
電話越しでは優しく感じてしまう琥珀の声。
素直になれない翡翠を察しているのか琥珀は翡翠のほしい言葉を投げかける。
琥珀のために用意したスープを温める。
ほどなく玄関のチャイムが鳴る。
「おかえり・・・」
笑顔が消え言葉を失う。
と同時に右頬に激痛が走る。
翡翠は右頬を押さえながら目の前の茶髪の女を睨みつける。
どう見ても翡翠より年下で派手で・・・
「泥棒猫!!人の男に手出しといて恥ずかしくないわけ!!」
激しく罵られ、鷲掴みにされた肩。
勢いよく壁に押し付けられ、殺気を全身で感じる。
「何これ? 料理なんか作って待っちゃって馬鹿じゃないの!!」
部屋を見渡すと女が琥珀のために用意していた料理に近づく。
《ガシャン》
皿が割れる音が部屋中に響いて琥珀のために用意した料理が皿ごと宙に投げ出され床に転がる。
「ヤメテ―――。」
逆上した女に翡翠の言葉は届かない。