【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

 「来るな!! 大丈夫かすり傷だから」

琥珀に駆け寄る翡翠の足が止まる。


 「こんな・・・はずじゃ・・・ わたしは・・・ ただ・・・」

琥珀を前に女は気が狂ったように涙を流す。


 「美沙、聞け!!これは事故だ。 割れたコップを片づけている理沙に俺がぶつかった。それだけだ。 」

 「私・・・」

 「美沙、もっと自分を大切にしろ。俺なんかのために傷つく必要はない。それでもおまえがこの人を傷つけるっていうなら俺は何十倍にもしてお前を追い込み傷つける。 どんな手をおまえが使っても俺がおまえの元に戻ることはない」


甘く・・・そして鋭い琥珀の言葉は女だけじゃなく翡翠にも突き刺さる。


事故だとキッパリ告げた琥珀の意思は翡翠にも有無を言わさず同意させるほどの力があって、そこまでしても守りたいと思う琥珀の言葉に翡翠は少なくとも動揺し不安を感じていた。


それでも女の元には戻らないっとはっきり告げた琥珀の言葉を今は信じるほかなかった。

 「美沙、わかったなら今すぐ帰れ。 俺自身怒りをこれ以上抑えられない」

左手をかばいながら女を睨む目は、女がその場から逃げ出すには十分な理由になった。












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