【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

スープを温める翡翠の後ろに琥珀が立っている。

湯気が立ちあがる鍋を翡翠の肩越しに覗き込みながら、右手を翡翠の腰に回す。


 「先にスープ飲んでてね。 何か簡単な物作るから」

 「主任はいいお嫁さんになれるよ」


琥珀のさりげない一言が翡翠を動揺させ不安にさせる。
琥珀にしてみれば最高の褒め言葉のつもりなんだろう。

でも翡翠にはその言葉は真逆の意味にしかならなかった。


 「ありがとう。」

言葉の裏側で翡翠は思い出していた。
ウザいと言い残し翡翠を捨てた元彼を。


翡翠はどこからが迷惑で、どこまでが喜ばれるのかわからなくなっていた。
琥珀が言った一言は元彼から言われ続けていた言葉。


その言葉を素直に受け止めいつかは結婚・・・。
そんな夢を膨らませていた。


 
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