【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑

 「木崎は自分の事をよく理解していて、自分の容姿を武器にターゲットの女性を自分に夢中にさせて依頼人と別れさせ、次のターゲットに乗り換えるタイミングで夢中にさせた女を振るんだよ。好きな女が出来たとか理由つけて。納得いかないのは女性の方だよな。修羅場になることも度々あるらしいがそこは天下の神崎グループ、女は泣き寝入りするしかないんだよ」

 「私もそのひとり・・・」

 「俺がお前と別れるために木崎に依頼した。そして木崎が動きやすいようにお前を指導係につけた。結果お前は木崎の思惑通り奴に夢中になって俺と別れた。 これが真実だ」

 「そんな事しなくても別れてあげたわよ。最初から部長の言葉なんて信じている訳ないじゃない。それなのに・・・」

翡翠はその場に崩れ落ちた。

 「翡翠これでわかっただろ?木崎は婚約することでお前との事を終わらせたんだ。今回の縁談が上手くいけば神崎グループは世界にその名を轟かせることになる。翡翠お前は邪魔ものでしかないんだよ。夫人にしても、この縁談を前に琥珀が陰でやっていることで足を引っ張られたくはない」

翡翠はこの時初めて知ったのだ。
どんなに夫人に楯突いても全てを知っている夫人には馬鹿な女と笑われていたことを。

 「じゃぁどうしてそこまでして別れた私とよりを戻そうなんて口にしたの?」

 「今は夫人を怒らすわけにはいかない。優先事項は翡翠とアイツを別れさせることだった。おまえ達が本気になったのが俺にとって大誤算だった」

 「私が部長に戻っていたらどうしてたの? アイツと別れさえしたら私には用はなかったわけでしょう?」

 「正直その後の事までは考えてなかった。 でも翡翠をそばに置く事もなかっただろう」

男の言葉が正直であればあるほど翡翠を傷つけていく。




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