【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
駅から徒歩10分圏内の通勤路さえも遥か遠く感じる。
琥珀の事を気にしつつも翡翠は家路に向かった。
エレベーターを降り、角部屋の部屋を目指す。
昨日までなら男がいつ来てもおかしくなかった部屋。
男の痕跡がまだ残る部屋。
翡翠は一瞬歩く足を止めた。
暗闇の中、部屋のドアの前にいるスーツ姿が目に飛び込んできた。
ドキッと高鳴る鼓動。
「なんで・・・」
驚きを隠すように男に近づくと、鍵を開け男を部屋に通す。
「上がって。」
「思った通りだ。」
男は玄関に足を踏み入れるとパンプスを脱ぐ翡翠を後ろから抱きしめた。
男の体温があまりにも温かくて、崩れ落ちそうになる。