【完】 SECRET♥LOVE 危険なアイツの危険な誘惑
横で眠る琥珀の吐息と寝顔に翡翠は微笑む。
琥珀が眠っている間に男の痕跡を片づける。
男が忘れていった煙草に男が使っていた灰皿。
男専用のスリッパにガウン。
見渡せばそれなりに男の痕跡が目に入る。
最後まで翡翠のものにはならなかった男とはいえ、男と過ごした時間が確かにここにあった。
翡翠は琥珀が目覚めた時に目に映らないように男の痕跡を消した。
男が知っている人物で自分の上司である現実は翡翠以上に琥珀にとっては酷なことだろう。
男の顔を見るたびに翡翠との淫な想像が頭を駆け巡る事となるだろうから。
琥珀が目覚めた時、翡翠は横にはいなかった。
キッチンから軽快に聞こえてくる包丁の軽やかな響きに食欲を誘う匂い。
「主任、料理出来るんだ」
素っ裸な琥珀が横から手を伸ばしつまみ食いをする。
「ちょっと何か着てってば///」
「今更じゃん。 何恥ずかしがっているの主任?」
琥珀のいつもの悪魔の笑顔がそこにあって、翡翠を挑発する。
翡翠の耳元に息を吹きかけ、後ろから抱きしめる。
「ちょっと、ジャマしないで。」
「怒った主任もかわいい。」
「もう食べさせないから」
琥珀の腕の中は心地よすぎて、それを見抜かれそうで翡翠は拗ねてみせた。