Love♡LDK

「5、4、3・・・」

―――――カチッ

あたし演じる真麻と准くん演じる和のシーン。

その音が鳴ると同時にあたしは台詞を話し出した。

『和・・・、あたしのお母さんとどういう関係なの?』
『はっ!?何でそれ・・・』
『否定しないんだ・・・』

下唇をギュッと噛んだ。

花園麻子さん演じる薫子と彼氏の和がラブホに入っていった所を偶然見てしまった真麻。

それが気になって和に聞くというシーンなの。

『あたし・・・見たんだよ?』

真麻の悲しさ、苦しさ・・・。

考えながら、ひとつひとつの台詞を言っていく。

『・・・悪い。薫子さんとは何度も肌を重ねた・・・』
『えっ・・・。どうしてっ・・・!』

集中・・・!

目に涙をためる。

『初めてお前ん家に言った時から、俺は薫子さんに惚れていた。愛してる。例え夫がいようがな・・・』

真っ直ぐにあたしを見つめる准くん。

そこで、涙が零れ落ちて頬を伝った。

『あたしは・・・愛されてなかったんだ』

小さな声で呟いた。

『ホントにごめんな、真麻・・・』
『もういいっ!』

あたしは踵を返して走りだした。

「カットッ!」

―――――カチッ

そこでまた、始めと同じ音が鳴った。

走る足を止め、涙を拭いた。

あーっ、泣いた泣いた。

なんかスッキリしたぁ。

「んーっ」

大きく背伸びした。

その時。

「満奈ちゃんっ!」

―――――ビクッ

急に後ろから・・・抱き締められた!?

「はっ、春輝くん!?」
「満奈ちゃんの演技ヤベーな!」
「離してくださいっ・・・」

春輝くんだった・・・。

周りのスタッフさんは苦笑いしてる。

毎日の事だからね・・・。

誰か助けてよ~っ。



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