Love♡LDK
17時過ぎ。
あたしは、とあるビルの前に立っていた。
首を90度近くまで上げて、そのビルを観察していた。
「でっかい・・・」
目の前にある看板には、"Cherry I"と書かれている。
Cherry I。
Cherryは桜。
Iは平仮名のい。
つまり・・・"Cherry I"は“桜井”と言う意味なの。
そして別名は“桜井財閥”。
“如月財閥”と並ぶ大企業なんだ。
あたしが、そんな凄い財閥の令嬢なんて・・・。
有り得ないよね。
笑えてくる~。
なんて事を考えながら、ビル内に入っていった。
“社長室”
重厚そうなドアをノックする。
「どうぞ」
中から聞こえたのは、お父さんの声だった。
―――ガチャッ
ドアを開けて、中に入った。
「すまないね、満奈。忙しいのに来てもらって」
「いいよ。んで、何?」
お父さんは椅子に座っていた。
あたしも隣の椅子に座るように促された。
言われたとおりに座る。
「何かあるんでしょ?」
「あぁ・・・。大事な話だ」
真剣なお父さんの瞳。
何だろう?
大事な話って・・・。
こうしてお父さんと真剣に話すのは・・・仁菜が死ぬ寸前以来だ。
わずかな沈黙が、よりあたしをドキドキさせた。