Love♡LDK
「いいよ」
そこまで考えて、あたしはハッとした。
何であたし・・・期待なんかしてるの?
もうあたしには・・・貴方を1人占めする権利なんかないのに。
いっその事さ・・・忘れてもらっていた方が楽だよね?
隼斗的にも、あたし的にも。
・・・それなのに。
思っている事とは裏腹に、あたしの口は勝手に動く。
「名前は?」
「桜井満奈だよ」
まず、名前を教えた。
“はぁ!?・・・つかお前誰?俺の事知ってんの?”
“当たり前じゃん!SuperStarの大ファンなんだから!!あたしは桜井満奈!Rainbow芸能事務所の研究生!ついでにこの部屋の住人!”
同時に、出会った頃の事を思い出した。
あの・・・幸せな頃に帰りたい。
「あたしね、SuperStarの大ファンなんだ」
「そうなのか?」
そう言うと、隼斗は嬉しそうに笑った。
「そう言われると・・・すげぇ嬉しい」
でも・・・彼の笑顔を見ると、焼けつくような感情を感じる。
「何歳?」
「18歳。高3だよ」
「じゃあ、俺とタメだな。学校は?」
―――ドクンッ
“学校は?”
それを言われて、思いだすのは―――。
如月高校。
寮の605号室。
千咲、菜々子、真菜ちゃん・・・。
帰りたい。
戻りたい。
会いたい。
「朝比奈、学園・・・だよ」
「へぇー。じゃあ相当頭いいんだね」
他人行儀な話し方。
空いた距離を埋めたいのに・・・。
これからの事を考えると、近づけない。
近くて遠い。
そんなもどかしい距離。
もどかしい想いの狭間に、あたしはいた―――。