Love♡LDK

悩んだ末に、あたしは、





「取引先の・・・社長の子供、かな」





そう言った。

ホントはね、

“恋人だよ”

そう言いたい。

でも、もう違うんだ。

“元恋人だよ”

今はそれなの。

でも・・・言えなかった。

だって・・・言った事で隼斗に罪悪感を感じてほしくない。

「えっ?・・・じゃあ、まさか・・・」

隼斗は何かを思い出したかのように、目を見開いた。

「桜井って、Cherry Iの桜井春風さんの娘・・・?」

それを聞いて・・・また胸が痛んだ。

お父さんの事も分かるんだ・・・。

「そうだよ」

なのにどうして・・・あたしの事は分からないの?

ねぇ、隼斗。

あたし、ここから逃げ出したくて仕方ない。

あたしの事なんか・・・知らなくたっていいじゃん。

この先の人生、貴方にはかかわりのない人なんだから。

こんなの・・・強がりだって事くらい分かってるよ。

でも・・・強がってなきゃ・・・。

あたしが、あたしでなくなるような気がして・・・。

ごめんね。

素直な女の子じゃなくて。

「あたし、そろそろ帰るね」

ベットから立ち上がった。

反動でベットが軋む。

「バイバイ」
「あぁ」

短く返事した隼斗に背を向けた。

今の“バイバイ”は、最後の“バイバイ”だよ。

今までありがとう・・・。

貴方に会うの、これで最後にするから。

・・・そう、思ってたのに。





「“満奈”っ」





いきなり隼斗が、あたしを呼び止めた。

それも・・・名前を呼んで。

・・・どうしよう。

たったそれだけなのに、嬉しくてたまらない―――。

「また・・・来てくれるか?」

それって・・・、

「また会いたい。満奈の事、もっと知りたい」

やっぱり、隼斗はずるい。

ねぇ、それってさ。

期待していいの?

“またあたしの事を好きになってくれる”って―――。

叶わない恋だけど・・・期待してもいいですか?

切れそうな1本の赤い糸に・・・願ってもいいですか?

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