Love♡LDK
「ホントにデビュー、したんだなって・・・」
枯れそうな涙声でやっと言えた。
ずっとアイドルになりたかった。
Rainbow事務所のオーディションに受かった時は物凄く嬉しかった。
でも現実は甘くなくて。
小4から入所してから5年間、ずっと研究生のままだった。
事務所を辞めようとも思った。
だけど、夢を夢のままで終わらせたくなかった。
初めてあたし1人に仕事が来たときは何とも言えない嬉しさがあった。
アイドルじゃなくて演技だったけどね。
5年間の悔しさ、悲しさ、嬉しさが。
今日この日に、全てあたしの中の素敵な思い出になった。
過去を振り返ったら、また泣きそうになった。
泣き顔を隼斗くんに見られたくなくて、隠そうとしたその時。
「満奈、頑張ったな。お疲れ」
視界が暗くなる。
ほのかに香る甘い匂い。
瞬時に、あたしは隼斗くんの腕の中だと察した。