【短編】阿呆と馬鹿の関係
「……授業戻りなよ」
「お前は?」
「あたしは、ココに居る」
「なら、俺もココにおる」
「何で?」
「お前こそ何で?」
……さっきから聞いてもオウム返しばっかりして何なのよっ。
「ちょっと、いい加減に…!!!」
「シー!! んな、大声出したらバレんで?」
人差し指を唇に当てて、険しい顔をする。
やっと、こっちを向いた柚木と目が合った。
たったそれだけの事で、顔が熱くなるあたしがいる。
「もっ、もう何がしたいわけ!? 先にココに居たのはあたしなんだから、柚木が出てってよっ」
柚木に背中を向け、赤くなった顔がバレないように小さな声で怒った。
本当は、こんな事が言いたいんじゃない。
先に謝りたいんだ。
ラブレターの事。
だって柚木は、あたしの気持ちなんて知らない。
ヤキモチを妬いていたあたしの想いなんて知らないのに、あんな風に言われて。
怒るのも当然だもん。