【短編】阿呆と馬鹿の関係



「俺もココにおりたいから、出て行くならお前が出て行けば?」


って思ったけど、今は無理!

だって、こんな勝手な言い分ないっしょ、普通!


「あっそ。なら、あたしが出て行くからいいよ」


今は、いつもみたいな言い合いなんて出来ないよ。


立ち上がったあたしは、教室のドアを開けようとするのに……


「柚木、持たれてたら開かないよっ」


嫌がらせか?
ドアに持たれたままの柚木は、退いてくれない。

はぁあーーー。
何なの、何がしたいわけ?


あ……。


もしかして、あたしに謝るタイミングをくれてるのかな。

このままじゃ“友達”として駄目になっちゃうから。


「柚木……」

「ん?」


あたしをゆっくりと見上げた柚木と目が合うだけでドキドキしてしまう。


「昨日、ごめんね。馬鹿にしたみたいな言い方しちゃって」

「……」


俯いてしまった柚木は何も言わない。


「……それだけ。それだけ言いたかったんだ」

「…ん」


これで“友達”には戻れるんだよね。


また、教室に“阿呆と馬鹿”が響き合うんだよね。


それでいいじゃんか、あたし。

告白して振られたって、それを望んでたじゃんか、あたし。

だから、それでいいんだよ。


ね、あたし?



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