【短編】阿呆と馬鹿の関係
「なーんてね」
あたしは、冗談を取る。
本気なんて言えないもん。
自分に何の自信もないあたしだもん。
そんな驚いた顔しないでよ。
そんな目で見ないでよ。
“冗談”を取ったんだから、笑ってよ。
言い返してよ、バカ。
「じゃあ、何で泣いてるん?」
え。
「な、泣いてなんかないよっ!」
そう、泣いてなんかないっ。
「めっちゃ目に涙溜まってんやん」
下唇を噛んだ。
これは絶対流しちゃ駄目な涙。
だって柚木、彼女いるじゃん。
あたし、間違いなく振られるじゃん。
ここは、男として気づかないフリしろよ、バカ。