【短編】阿呆と馬鹿の関係
「瀬名」
「ん?」
「アホは言い過ぎた、ごめんな?」
シュンとした顔をして上目遣いで謝る。
「な、何言ってんの!?
阿呆なんて、いつも言ってんじゃん!」
「うん。でも、彼女に言う事じゃないよな…ごめんな?」
「全然っ! 気にしてないからっ」
そう言うと柚木はニッコリ微笑んだ。
この優しさが、どうしても駄目。
今まで阿呆って言われるのが嫌いだった。
だけど、そんなのは慣れで。
今更、阿呆って言われて凹むあたしじゃないし。
逆に謝られたら、バカバカ言うあたしはどうなるのよ。
あたしだって柚木にバカって言うのは癖になっちゃってるんだもん。
付き合うって事は、そんなのも変えなきゃ駄目なもんなのかな。