【短編】阿呆と馬鹿の関係



「瀬名、俺の机に置いといて!」


学ランを掴みながら


「何であたしがっ!?」


ドキドキしながら叫んだ。


「お前がそこにおったから」

「お前って言うなバカ!」

「バカって言うな、アホ女!」

「アッ、阿呆女ぁ~?」


柚木は勝ち誇った顔を見せ、廊下に飛び出してしまった。


阿呆女って何よっ!
ほっんとーにムカツクー!


……。


なんて思いながらも目線は、学ランに釘ずけで。

ちょっと赤くなった顔を、ほのかに柚木の香りが熱くさせる。

こんな事されると、ちょこっと期待しちゃうじゃん。


バカ……。


学ランをあたしの前の机。
柚木の席に置いてから、廊下で叫ぶ柚木を見た。

今まで楽しそうに野球をしていた柚木は、通りかかった先生に怒られている。


プッ。
やっぱバカじゃん(笑)


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