【短編】阿呆と馬鹿の関係
もう戻って来るかな。
そう思って、さっき置いた学ランを何となく見直した時だった。
え……。
ポケットからはみ出すピンク色の封筒。
多分、あたしが置く時に飛び出したんだろう。
ピンクの封筒には、柚木が趣味で持ってたら気持ち悪いであろうリボンの絵が書かれていて。
その下に……女の子らしい字で石沢 夢(イシザワ ユメ)。
石沢さんって、3年で凄く可愛い女の人だよね?
サラサラの綺麗な髪に、小柄で細くて。
小さな顔に大きな瞳。
色白で。
まさに、モテます! って女の人。
何でそんな人から……手紙!?
そのピンク色の封筒に手を伸ばしたくなった瞬間。
「山先に見つかるとか、ツイテへんよなぁー」
聞こえて来た声に体がビクッとする。
素早く手を引っ込めたあたしを、不思議そうな顔で見下ろした柚木が隣に立っていた。