ヴァイブ
「何やってんの?
スナックで働くって言ってなかった?」

二人で私に近付いてきた。

「あぁ…クビになった。」

「クビ?」

「エロオヤジが私の体を必要以上に触るから、キンタマ蹴り上げたらクビになった。」

「そっか。」

「琴子は?二人でデート?」

「うん。たまには、街にでも飲みに行こうって事で。
二人とも明日、休みだし。」

「そうなんだ。」

「何かあった?」

「えっ?」

「顔色、あんまり良くないよ。」

「…ぁあ…何でも…」

「…なくないだろ?」


琴子の優しさがジーンと染みて来る。

「…わた…っし…」

「あっ、待って。どっか店、入ろ。
翼(ツバサ)はいない方がいいしょ?
ちょっと、どっかで時間潰してて。」

琴子は彼氏にそう言うと
イヤな顔もせずに

「わかったわ。」

と、私が入ろうとしてた漫画喫茶に入ってくのが見えた。


私と琴子は、近くのカラオケ屋へ。

歌いたいわけじゃなくて

誰もいない静かな所を街中で探したら

ココに行き着いた。
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