ヴァイブ
…太一…

初めての彼氏。

私の初恋…だったんだ。


…だから…

他の元彼の名前は一切覚えてなくても

太一の名前は今でも覚えてる。

あの時は、

これが恋なんだ。
本気で好きなんだ。

そう思って、付き合った。


なのに…


今は、そんな感情を持つ事がない。

固く閉ざした。


そして、壁を作ったんだ。


―イラナイ―

―イラナイ―



…イラナイよ?


どうして…?




―思い出したくない…―



はぁとため息をついてから、

溶け切った氷で薄まったオレンジジュースを口に含んだ。


「もし…
もしも、私が玲二を好きだとして―――
どうすればいい?」

困惑の表情を琴子に向ける。

「素直になればいいだけだよ。」

「素直?」

「玲二は、不思議に思う事はかなりあるけど
悪い人ではないと思う。」

「そう…かな?」

「うん。」


琴子は、微笑んだ後に

「私は、七海が恋する事はスゴい嬉しいよ。

ようやく、合う人が現れたって事だろ?

Sexだけの付き合いじゃわからない気持ちがいっぱいある。

快感以外の事を求めてみろよ?

もっと気持ちよくなれるかもしれないんだから。」


そう言いながら、

優しい目をした。


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