ヴァイブ
―次の日

琴子から呼び出された。

例の人目につかない一角に。


だけど、いつもの取り巻き達はいない。

琴子だけだった。



「翼を誘惑したって?」


殴りかかる様な素振りも見せずに

琴子が言う。


嵐の前の静けさ?

この後に、殴られんのか?


「あぁ。したよ。
でも、あの男、私の裸見ても勃たないとか言ってたけど、ホントはインポなんじゃねぇの?」

涼しい顔して答えた。


「違うけど?
私が相手だったら、毎日ビンビンだから。」

「どうだかね。」


琴子の真意がわからない。

自分の男を誘った私を目の前にして

その余裕はなんだ?

ヤリ損ねたからか?

やっぱ、ムリヤリにでも突っ込ませればヨカッタ。


他の女達の様に、
ヒステリックになって、私を殴る琴子を見て

せせら笑いたかった。


…残念ね。って。


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