ヴァイブ
「さ~て…どこ行く?」

車を運転し始めてから玲二が言う。

「まだ決めてなかったの?」

「うん。どうする?」

「どうするっても、適当に走れば?」

「そうか…」

赤信号で止まってから玲二が私を見た。

「ホテルに行きたいって言わないんだ?」

「えっ…?」

「前はスゴい行きたがってたじゃん。」

それは、そうなんだけど…

今は、そんなに思わない。


黙っていると

「俺に飽きたの?」

私の髪に触れてきた。

「べつ…に…」

「それはないか。七海ってば、俺の事が大好きだから。」

「その自信は、何?」

「なんとなく。」


なんとなくって何だよ?
と思いつつも、
青信号になって動く車の窓から流れる景色を見てた。




この時間がいつまで続くのか…

終わりは、すぐそこまできてるんじゃないか…

…言葉に出してしまったら、本当に終わりそうだから、

口を堅くつむんだ。


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