ヴァイブ
響のドアの部屋の隙間に立って

中を見ると

裸の響の上にまたがって
裸の真帆が上下に腰を振るっている。


「真帆…上手…っあぁ…」

響から漏れる声も

「…っあ…はぁ…」

私の耳には、別の男の声になる。


ドックンドックン…

最高潮に、心臓が早くなって

私の眼孔の奥から

ひとつの映像が蘇ってくる。


「…っあ…あぁ…はぁ…」

淫らに悶える女。

「…はぁ…ぁあ…気持ちぃ…」

悦びながら受け入れる男。


ギシギシ揺れるベッドの音。


「…いやっ…」


ガタガタ震えながら、反対側の壁にもたれかかる。

「…っい…やっ…」

頭を抱えながら、座り込むと玲二が

「なした?七海?」

私の肩に手をおいた。

「いやぁ―――!!」

絶叫しながら立ち上がって、
靴も履かずに家から飛び出した。

「七海!」

後ろから玲二の声がしたけど、
振り返りはしなかった。



眼孔の奥から出て来た映像は…


母と……………


私の知らない男…


だった…



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