ヴァイブ
「七海…これは…ね…」

母が何かを言おうとしてる。

他の男とSexした言い訳をするんだと思うと…


私は、逃げた。


具合が悪い事なんか忘れて…走った。

母から。

少しでも遠い所へ行こう。


闇雲に走っていたら、駅に着いた。
震える手で、ポケットから財布を取り出して、切符を買う。

目的地なんかなかったから、
友達とたまに行く街を選んだ。


街について電車を降りたけど…

行く場所なんかなかった。

お金もそんなに持って来てるわけじゃないから、どこにも行けない。

どうすればいいのかわからない一方で
体はずっと震えていた。

どうしようもなく、駅内の隅っこで縮こまっていた。

通り過ぎる人がたまに好奇の目で私を見てたけど

今はそんな事はどうでもよかった。

と言うか、そんな目で見るなら助けてくれよ。
と必死の思いだった。

暫くの間、そのままでいると

「どうしたの?」

男の人の声が私にかかる。


見上げて見たその人が…

玲二だったんだ。


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