ヴァイブ
かけられた声にすがりたかった。


「大丈夫?」

ガタガタと震えてる私をそっと、包み込んでくれて

「怪しいモンじゃないよ?
いや、怪しいかもしれないけど…」

怪しい、怪しくないなんかどうでもよかった。

助けて…

助けて…


私は、玲二にしがみついた。

玲二は、見ず知らずの私に優しくしてくれて…

何をされるかわかんないとか。

そんな考え一切なくて…

玲二にしがみついたまま…寝てしまったんだ。


気付いたら、玲二の家で…

あの時の家は、今と違う家だった。

あんな立派なマンションじゃなくて
少し古めなアパートだった。


目を覚ましてからは、震えは収まっていた。


気を使ってくれてか玲二は、何もいわなくて
私も何も言わない。

黙々と時間だけが過ぎていた。



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