ヴァイブ
“琴子”は、真っ直ぐに私を見て近付いてくる。

私の前に立って、上から下まで見てから、

「ふ~ん。キレイな顔してるね。あんた名前は?」

固めた表情のまま私に聞いた。

「人に聞く前に、自分から言えよ。」

私の態度も一向に変わらない。

「わぁ。超生意気じゃん。私は、久保 琴子だよ。」

「…平岡 七海」

「七海ね。あんた可愛いから色々と妬まれ大変だね。」

「えぇ。とても。」

琴子は、クスッと笑って

「もう、帰っていいよ。」

意外な事を言った。

てっきりこれから、ボコボコに殴られると思っていたから。

「なに意外そうな顔してんの?殴られるとでも思ったの?
あんたのキレイな顔を殴るのもったいないじゃん。」

だけど、琴子の言葉に、外野は黙ってはいなかった。

「ちょっと琴子!!何考えてるの!?」

「そうだよ!!」

「二度とおかしな事出来ない様にしないと!!」

「また被害者が出るよ!!」

そいつらの言葉を

「うるさい!!」

の一言で黙らせた。

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