ヴァイブ
リビングにもキッチンにも生活感が感じられなかった。

出て行った時のまま。

私が書いたいった置き手紙が
しわくちゃになって置かれてるのを見た。

これは、父が怒りでこうされたのかはわからない。


テーブルにうっすらと乗っかっている埃を見て

父はこの家で生活してる時間はおそらく少ないのだろう。

と思った。


昔ならいつもキレイにされていた。

母の手で。

母が出て行ってからだって、
こんな埃が溜まる前に私が掃除してた。


父がいつ帰ってくるのかは、わからなかったけど

とりあえず、この溜まっている埃を除去しよう。

埃を吸わない様にマスクをして、掃除を始めた。




………掃除が一通り終わり頃、
外から車のエンジンが止まる音。


お父さんが帰って来たんだ。


ガタンガタン!


家に入ってくる物音が少し荒々しい感じがする。


ガチャ―

「七海!?」

ドアを開けるのと同時に父は、私の名を呼ぶ。


「おかえり。」

私は無表情で、父を見た。

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