ヴァイブ
「七海…帰って来たのか?」

父は私に近寄る。

「うん。」

「もう、どこにも行かないのか?」

「それは、わからない。」

「なんっ…」

「思い出したんだ。」

私は父の言葉を遮る。

「お母さんが出て行く前の日の出来事を。

全部、思い出した。
お母さんがお父さんじゃない別の男とSexしてた。

私は、その事がその行為が
ショックが大きすぎて…

自分で蓋をした。
忘れるように、闇に葬ったんだ。」

「七海…」

「お父さんは、お母さんが浮気をしたのが許せなくて、家から追い出したの?」

私は父をじっと見た。

父の額から汗が流れてる。

「そうなの?お父さん…」

父は、私から目を逸らして
食器棚からグラスを出して流し台の蛇口をひねって水を出す。

水をグラスに汲んでから、口にあてて
ゴクゴク…
音を立てて飲み込んだ。

「もし…そうなら…
七海は…父さんを恨むか?」

水を飲んで、落ち着いたついたのか
父が聞く。


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