ヴァイブ

と言うか…

始めから、責める気なんかなかった。

私は、ただ真実が知りたかっただけだから…


だから、会わなければならない。


「お父さん。
お母さんが今、住んでる場所は知ってるの？」


父は、黙ったままだ。

私は、父が口を開いてくれるのを待つ。

暫く待つと、父は立ち上がって書斎へと入って、ひとつの封筒を手にして戻ってきた。


「七海が成人式を迎えた朝に届いた、母さんからの手紙だ。
七海は、どっかに行ってて、成人式すら出なかったから

この手紙を目にはしなかった。

ずっと、隠してた。

ココに住所が書いてあるから…」


その封筒を見ると

懐かしい…キレイな母の字で丁寧に

『平岡 七海 様』

と宛名が書かれている。


「…つ…」

それを見た瞬間――

鼻の奥がツンとして…涙が出そうになる。

だけど、グッとこらえた。


父の前で涙を見せると、
父を責める事になってしまうと思ったから…