ヴァイブ
その封筒を手にして立ち上がる。

「七海…!」

父が立った私を見上げながら

次に続く言葉を飲み込む。

その言葉を

私はわかっている。

だから

「大丈夫だよ。
お母さんには、会いに行くけど
ココに帰ってくるから。」


こんなに気遣えるなんて…

正直、自分でも驚いた。

だけど、父の不安そうな顔を見ると

どうしてか安心させてあげたい。と思った。


「でもね、

私は、お父さんもお母さんも同じくらい好きだったから

どっちに引き取られようと恨んだりはしなかったと思う。

でも…

お母さんが出て行ってから構ってもらえなかったのは…

寂しかったよ?」

さっき我慢した涙が流れ出ながら、
私の声も震えてる。

「寂しかったよ。

…お父さん…。」


母の手紙がぐしゃぐしゃにはならない様に、
弱い力で手紙を握りしめる。


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