ヴァイブ

「どうかな…？

俺は、七海をちゃんと助けられてたのかな？」

「ってか、助けてくれたから今、私がこうしていれるんじゃないの？」

「それなら、俺は嬉しい。」


玲二に頬を触れられて、
私は視線を玲二に移す。


「だけど、ホントに助けられたのは…

俺の方だよ。」

「えっ…？」

「七海を見つけたあの頃、俺自体が結構病んでる頃で

生きてる価値あんのかな～…なんて思ったりしてた。」

「どうして？」

「俺の実家、不動産屋なんだよ。

それで、俺は長男だから結構、小さい頃から後を継げって言われててさ。

小さい頃なら頷いていたけど、
高校生ぐらいになるとさ、自分が本当にやりたい事…夢が出てくるじゃん？

それが、今の店なんだけど…

高校出たら、跡継ぐ為の勉強すれ。とか口を酸っぱくされながら言われてたわけよ。」


「…へぇ～…」

思わぬ所で、玲二の素性が明かされる。


…意外と普通なんだな。

なんか、もっと謎めいてると勝手に思っていたけど。