ヴァイブ
「っで…決めた仕事は、完全歩合制の所を選んで営業マン。」

「何で?」

「完全歩合だと売れば売る程、自分の所に返ってくる。」

「やった事ないからわかんないけど…
そうなんだ?」

「元々、俺は社交的で誰とでも仲良く出来るから営業の仕事自体は難しくはなかったんだ。

実際、売り上げも良かったから順調にお金は貯まっていったんだ。

贅沢な暮らしはできないから、安めのアパート借りてさ。
自分の家の物件じゃない店のアパートね。」

…その安めのアパートが
私が最初に行った玲二の部屋か。

「だけど…順調なのってどこかで落とし穴が隠れているんだよな…」

玲二は、伏し目がちになりながらため息をついた。


「家を出て、二年…
当時、付き合ってた彼女に…俺の貯めた二百万を持ち逃げされたんだ…」


「はっ!?」


そんな裏切られた過去があるなんて

今の玲二からは全く想像がつかない。


って言うか…

付き合ってた彼女って事は

やっぱ、女がいた事もあるんだよな。


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