ヴァイブ
そんな当たり前の事に、

胸がドンと押されるショックを感じた。

「その女…どこに行ったか全然わかんないの?」

玲二が話す前に、聞いた。

「さぁ…?ドコに行ったんだろうね?」

「被害届け…とかは、出さなかったの?」

「出す事も考えたよ。
だけど、彼女が戻って来るって信じたかった。」

「でも、戻っては来なかったんでしょ?」

「うん。

だから、ちょうどその時だよ。七海と出会ったのは…

彼女の行き場もわからなくて

自分の夢も、もしかしたら叶えられずに、親の元で働かないといけなくなるかもしれない…

途方にくれてた。

いっそ、死んで全てがリセットされればいい。なんて危険な事まで考えてた。」

絶望的だった過去を淡々と喋る玲二。

その胸中は…ホントは泣き叫びたいぐらい悲しい事だったんじゃないかと思うと

息が詰まる…


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