ヴァイブ
一文字、一文字が目から心に伝わって…

泣いてしまった。



車が、青い屋根の大きな柴犬がいる家の少し手前に止まった。

「あそこだ…」

その家を見ながら、ポツリと呟く。

「俺も行くか?」

玲二が緊張してる私を見て言うけれど

「ううん。一人で行ってくる。」

と、車を降りた。

ドキドキと心臓が鳴り始める。

インターホォンの前に立ち、
目をつぶりながら大きく息を吸う。

…ゆっくりと、息を吐いてからチャイムを鳴らすと

ピンポーンと音が外まで聞こえる。

胸に手を当てながら、出て来るのを待つのを

玄関フード横で寝そべってる柴犬が不思議そうに見てた。

「は~い。」

中から聞こえる返事に、心臓がドクンと飛び上がる。

外の人に気遣ってか、当たらない様にゆっくりと開かれるドア。

「どちらさ…」

懐かしい母の声が

私を見て途切れる。

驚いた顔して、眉をしかめながら

「七海…?」

おそるおそる私に尋ねる。

「七海だよ。お母さん。」

私がそう名乗ると、

「…っう…ぅ…」

母はその場で泣き崩れた。


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