ヴァイブ
父は、仕事での疲れを母に癒されたかった
愛していたから。


母は、束縛された心を解き放ちたかった。
だから、逃げる事を選んでしまった。



『もしも…』

なんて考えたらキリがないから

私は、今の現実を見るだけだ。




「私の…腹違いの妹は、何て名前なの?」

少し落ち着いた母に聞くと、

母は、鼻をすすってから答える。

「愛の海って書いて、愛海(メグミ)って言うの。」

「そっか!
可愛い名前だね。」

母が心配しない様に、力いっぱい微笑む。




帰り際、

「また…会いにきてもいい?」

と聞くと、

母は私が大好きだった笑顔で

「いつでも来てね。」

と見送ってくれた。


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