ヴァイブ
その琴子は…今日、嫁ぐ。

優しく暖かい
琴子の様な空気を漂わせた春の日。


翼の所へと―――


正確な事を言えば、既に籍は入れてるからもう夫婦の間柄ではあるんだけどさ。


「どう?七海。キレイだろ?」

真っ白なウェディングドレスを身につけた琴子が私に聞いた。

「ってか、自分で言うなよ。」

「七海もいいじゃん。その振り袖。」


琴子が言う振り袖とは、

母が私の成人式の為に買ってくれた振り袖。

赤い生地に、鮮やか花の絵。


着付けなんか出来ないから

振り袖を持ってくるついでに着せてと母に頼んだ。


「やっぱり、七海に合うわね。」

滲む涙を拭きながら、振り袖の着付けを終えた後に母が言う。


母とは、会いに言った日から、少しづつ連絡を取る様になっていた。

その事を父に内緒にするのもヤダから
ちゃんと伝えてる。

母が来る事までは言ってはいないけれど。

母と一緒に、私の妹の愛海が来た。

前は見れなかったけれど、

大きな瞳が母に似てるな。と思った。

まだ、小さ過ぎて、細かい事を言ってもわからないから

とりあえずは、お姉ちゃんと言う事だけ教えた。

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