ヴァイブ
ガクガクと足が震えてる。

琴子が怖いわけじゃない。

私の中の壁を破られるのが怖かった。

それなのに、お構いなしに、琴子は壊した。

「だから、悪いなんて言ってないじゃん。
誰だって自分に合う人を見つけたいと思うでしょ?」


冷静な表情の中に

琴子の“ヤサシサ”を見た。

「って言うか…」

クスクス笑う琴子。

「七海。あんた初めて私を名前で呼んだね。」

「えっ…?」

そういえば…
“琴子”って言ったかも…?

「年下のくせに、呼び捨てする辺り七海らしい。」

静かに笑いながら、
琴子は、私の頭をポンポンと叩く。


―――何故か、涙が出て来て…


琴子のその優しさや強さが人を引きつける。

決して、喧嘩が強いからって、
ただそれだけで、リーダーになってるわけじゃない。


私は、
琴子と言う人間に惹かれた。


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