ヴァイブ
「お待たせしました。」

席を案内してくれた男が注文通りに、ビールとカシオレをそれぞれの前に置いた。

「タカミ レイジが戻ってくるまであとどれぐらい?」

少しでも早く確認したい。

先走る気持ちで聞く。

「そう…ですね…」

男は腕時計を見ながら、

「あと30分ぐらいでおそらく帰ってくると思いますけど…」

およその待ち時間を言った。

30分…

「ありがとう。」

私が礼を言うと、男は一礼してからまたカウンターへと戻る。


カシオレを一口飲む度に
フー…
と出る溜め息。

明らかに、落ち着きがない。


そんな私を見て琴子が

「少し落ち着けよ。そんなに、ソワソワしてたら肝心な時に誘えないんでない?」

私を落ちつかせようとする。

「うん…」

返事をしながらも
フー…
と出る溜め息。

もう、これは仕方ない。

だって待ち望んでた事が現実になるかもしれないんだから……


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