ヴァイブ
「大丈夫…だけど……」

頭の中にボンヤリとかかってた霧が一気に飛んで、

重要な事を思い出した。

「タカミ レイジは!?」

その男の両腕を両手で掴んだ。

「えっ?あっ…?店だけど…?」

「店…!?いつ戻ってくんの!?」

「店が終わり次第。」

「何時!?」

「一応、店は、朝の四時までだけど?」

「今、何時!?」

「んっと…」

その男は、腕時計に目やる。

「もうすぐ、一時かな…」

「後三時間…」

掴んでた手の力を緩める。


せっかく会えたと思ったのに…

ガッカリしながら、視線を床に落とす。

「七海。あんた、その事を聞く前に、この人に礼をいいなよ。
ここまで、運んでくれたんだから。」

琴子に言われて

「えっ?」

男を見た。

「おんぶしてここまで連れて来てくれたんだよ。」

「そうなんだ…ごめん。ありがとう。」

「どういたしまして。」

男はニッコリと笑う。


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