ヴァイブ
「ところでさ、何で玲二を待ってたの?」

男が聞いた。

「うん…色々と…」

初めて会った男に、昔の事から今に至るまでの話しをする気はなかった。

ここまで、運んでくれた事には、感謝するけど…。


「ここ、タカミ レイジの家なんだよね?待ってたらマズいかな?」

どうしても会いたい。

どうしても…

すぐに会える距離なら…

会いたい…

懇願する思いで男を見た。

「いや、大丈夫だよ。」

「ほんと!?」

「うん。」

やったぁ…

小さく喜びを噛み締める。

「あっ…でも…
ごめん…琴子。私に付き合うのイヤならタクシー代出すから、帰ってもいいよ?」

ホントは一緒にいてほしいけど、

自分のワガママにそこまで付き合わせるのは気が引けた。

だって、待ってる間、私はまた絶対に落ち着かない。

…琴子がいてくれたら、少し和らぐ気がするんだ。

「別に、構わないよ?何か、七海らしくないよ。素直に謝ったりして。
そんな七海を見てるのが面白いから、一緒にいてあげる。」

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