ヴァイブ
そんな現実から目を背けたくて

逃げ出したくて…

俺は家を飛び出した。

どこか…遠い所へ行こう…

そう思って辿り着いたのが電車で五時間かかるこの街だった。

無意識にこの街に来た。

でも、大きな街だから、隠れられていいかもな。

知り合いがいるわけじゃないし、お金も…

持ち金、二万。


親に電話した。

「金振り込んで。」

その一言だけ言って、切った。

どこにいる?と聞きたかったらしいけど、

言うわけがない。

探されたくない。


罪滅ぼしのつもりなのか、
翌日には兄貴名義で、俺の口座に200万が振り込まれていた。


俺は、その金を使って女をナンパしては、ホテルに泊まる生活を繰り返す。


楽しくなんかなかった。

いっそ死んでしまいたいと思った。

そんな時に、玲二に会ったんだ。


< 47 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop