ヴァイブ
「決して、怪しいモンじゃないよ。」

「充分、怪しいけど?」

「何も怪しくないよ。これ、俺の名刺。」

BAR たかみ

と店名が左上に書かれていて真ん中に

高見 玲二

と名前が記されている。


「店をオープンさせるのはいいんだけど、なかなか店員が見つからなくてねぇ。
普通のBARなんだけど、
俺みたいないい男がやるんだから、従業員もイケメン君を集めたいじゃない?
君は合格だ!」

ハハハと笑いながら、俺の肩の上をポンと叩く。

何だコイツ?

自分でいい男とか言うの有り得ない。

確かに、モテそうな感じはあるけど…

いい年こいて。


「勝手に合格させんな!いい迷惑!
他をあたってくれ!」

俺は、肩に乗っかってた手を振り払って去ろうとすると、

「あぁ~!!
困る!!ひっっじょぉぉぉうに!!困る!!」

その男は、頭を抱えながらその場にしゃがみ込む。

なんてオーバーリアクション。

「週末だけでいいんだよな。週末だけ…」

俺にチラっと目線を上げる。


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