ヴァイブ
駅について、ベンチに腰かけた。

始発まで、あと少し。

琴子が目覚ましに、販売機で缶コーヒーを買ってきてくれた。

「ありがとう。」

受け取ってから、琴子が隣に座った。

コーヒーをゴクゴクと飲んでから、

「ごめん。寝ちゃって」


まだ眠たそうな目をしながら琴子が言う。

「いや、いいんだ。それより、私のせいで、琴子に迷惑かけそうで…
ごめん。」

「えっ?迷惑?
ってか、私、寝ちゃったから突然帰った経緯がわからないんだけど。
念願の高見 玲二に会えたんでしょ?」

「会えたけど…」


琴子が寝てからの事を説明すると


「そっか。でも、私は、そんな男、ぶっ飛ばせるよ?響ってそんなに力強そうじゃなさそうだし。」

そうだ…

琴子は喧嘩は負けなしだっけ。

その細い体で、男にも勝つってどんだけ強いんだよ。


「だから、私に気にせずに、高見 玲二とSexすればよかったのに。
待ち望んでた事だったんだろ?」

「そう…だけど…」

言葉を濁らす私に

「でも、私を守ってくれようとしてくれてありがとう。」

私の頭をポンポンと優しく叩いた。

「ん…」


何で、琴子は私の気持ちをこんなに察してくれるんだろう?

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