ヴァイブ
父は、建設会社の社長。

毎日、仕事で忙しそうにしてた。

帰ってくるのも遅かったけど、
なるべく私が起きてる時間に帰って来ようと努力をしてたみたいだ。

休みの日は必ずどこかへ遊びに連れて行ってくれた。

母が作るお弁当を持って

動物園、遊園地、水族館…

夏になれば、海にキャンプ。

冬は、スキーに温泉。

誕生日、クリスマスは、高めのプレゼントをねだって買ってもらって

お正月は、お年玉をもらう。


テストでいい点を取れば誉められて、
悪い点は部屋の隅に隠すけど
結局、見つかって怒られる。

悪い点を取ったからじゃなくて、『隠す』というズルい事をしたからだ。



どこの家庭でもある普通の日常。


日常だったのに…


母がいなくなってからは、『出掛ける』事がなくなって

父の帰宅時間は、日に日に遅くなる。
母がいる時にはなかった午前様になっていってた。

帰って来たと思ったら、酒の匂い。

珍しく、家にいると時もほとんど会話はない。

それでも、家の事は私が全般的にやっていた。

母の手伝いをしてたから、そんなに難しいモノではなかった。


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