ヴァイブ
「あぁ。待って。」

呼び止めながら、私の手を掴んだ。

「働くのは構わないわよ。
貴女、スゴいキレイな顔してるし。愛想よくしてたらきっと人気者になるわ。
明日、改めてまた来てもらえないかしら?
今は忙しい時間だから。
六時頃に来れる?」

だったら、最初からそう言えばいいのに。

そんな事を思いながら

「はい。」

返事した。


「じゃあ、明日。」

さっきの怪訝な顔つきとは変わってニッコリ笑って見送られて、

明日、出直しか。


めんどくさがりながら店を出た。


そのまま、二階に行って玲二の店に入る。


玲二は、私にすぐに気付いて

「あれ?七海。どうした?」


すっとんきょうな声を出す。


「上のスナックで働く事にした。」

「はっ?」

玲二は、目を丸くしながら

「まぁ、いい。とりあえず座れよ。」

カウンター席にイスを指差した。


そこに座って

「今、行って来た。明日、改めて来てくれ。だって。」

出されたおしぼりで手を拭いた。

「どこ?名前は?」

「Berry。」

「あ~。Berryか。」

「知り合いの店?」

「このビルに入ってから知り合った。」

「そうなんだ。」


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