キミがいなくなるその日まで



『は?ま、まさかシンに聞いたの?』


病室担当じゃなくても話す機会はあるし、
なにより中村さんはこういう話題が大好きだ。


『聞いてないわよ。でもシン君の視線だったり態度を見れば誰だって分かるでしょ?』

『…………』


え、私は全然感じた事ないし、そもそもシンが私に話しかけてきたのは寂しかったからじゃないのかな。

それにシンが話す女子って私しか居ないんだから誰かと比べようがないじゃん。


『多分中村さんの勘違いだよ。私もシンも恋愛なんてしてる場合じゃないし』

そんな事をする前にやるべき事がたくさんある。

私は落ち着きを取り戻す為に折り紙の本を開いた


『あら、恋は治療にすごく効くのよ?それに病気の人が恋をしてはいけないなんて決まりはない。
人を好きになるってそういう事でしょ?』


確かに私は入院してから恋愛という機能を停止させてきた。

だっていつ死ぬか分からないのに誰かを好きになって、誰かに好きになってもらうのは不可能だから。

でもそんなのただの言いわけ。

好きな気持ちは自分の意志とは関係なく側にあるものだ。


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