キミがいなくなるその日まで
『本当?やる!やりたい!』
シンは子供みたいな笑顔を見せた。
シンの首もとには小さな発疹。そして腕には無数の点滴針の跡がある。
私には絶対見せないけど裏で苦しい治療をしてるのは知ってる。だからこそ私はシンが喜ぶ事がしたい。
誰かに喜んで欲しいなんて初めて思った。
『それならマイのツリーにも俺の折り紙飾ってよ。いつもより小さい紙で折るから』
『全然いいけどそんな折り紙持ってないじゃん』
するとシンは得意気な顔をして立ち上がった。
『言ってなかったけどいつもある看護師さんに用意してもらってるんだ。折り紙好きの人が居て色んな折り紙持ってるんだよ』
『ふーん』
『今からちょっと行って聞いてみるよ。準備は早い方がいいでしょ?』
もう、準備って早すぎだよ。シンって意外とせっかちなんだな。
『はいはい、私はここで待ってるから』
そう言ってシンを背中で見送った。折りかけの折り紙を手に取った瞬間、鈍い音が背後で響く。
──────バタンッ。
ドアを閉めた音?それにしては大きすぎる。
恐る恐る振り返ると部屋の床にシンがうずくまっていた。