キミがいなくなるその日まで
病室に戻った後も私は上の空で頭の中はシンの事ばかり。狭い部屋を行ったり来たりしながら私はただ祈る事しか出来なかった。
────ガラッ。
『マイちゃん、シン君の心拍が戻ったわよ』
そんな中村さんの報告に私は一気に力が抜けてしまった。こんなに心からほっとしたのは初めての事。
それでもまだシンの目が覚めて声を聞くまでは安心出来ない。
私はいてもたってもいられず廊下に飛び出した。
パタパタと少し大きいスリッパを鳴らしながら、
たどり着いたのは集中治療室の前。
その時丁度、風間先生が中から出てきた。
『先生、シンは?もう平気なの?』
『まだ自発呼吸が弱いから安心はできない。暫くはこのまま集中治療で治療をしていくよ』
先生の額には汗。シンは本当に危ない状態だったんだ。
『………目は?シンはいつ目を覚ますかな』
一度呼吸が止まってしまっただけにそれが怖い。
もしこのまま眠り続けてしまったらどうしよう。
そんな私の様子に先生はポンッと肩を叩いた。
『どうなるかはシン君次第だよ。
大丈夫、シン君を信じよう』
『……』
中村さんも先生も大丈夫、大丈夫だからって私に言うけど私は全然大丈夫じゃない。
だって人は簡単に死んでしまうじゃない。
大丈夫ほど信じられない言葉はないよ。