キミがいなくなるその日まで




『それに子供を諦めてたらやっぱり子供が欲しかったとか、我が子に会いたかったとか思い続けてたと思います。………すいません、勝手な憶測で』


だって人は無いものねだりだから。

初対面で、しかもこんな17歳の私がシンのお母さんにあれこれ言うのは違うかもしれない。

でも……………



『マイちゃんは私よりずっと大人ね』


シンのお母さんはそう言って目の前のコーヒーを一口飲んだ。温かかったはずのコーヒーにもう湯気はたっていない。

なんとなく冷静な受け止め方がシンに似てる。


『確かに子供を諦めてたら後悔したと思うわ。
それでもやっぱりシンには申し訳ない事をしたって思わずにはいられないけど』


すぐに言葉が見つからなかった。

何を言えばいい?何を言ったら正解?


ううん、正解なんてきっとない。それを決めるのは私じゃないから。


『………私の母も同じように思ってます。健康に産んであげられなかったのは自分のせいだって。
それで私を必要以上に過保護にするから喧嘩もするし、憎まれ口も叩きます』

『………』


『でも結局、私が最後に求めるのは家族なんです』


シンがどう思ってるかは分からないけど、苦しい時に一度もお母さんを思い出さなかったなんてそんな事ある訳ない。

きっと何度も何度も求めたはず。


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